英国で監査の質の低下に警鐘 英国だけの問題ではない

2018年7月3日付の日本経済新聞電子版で英国における監査の質の低下に関する以下の記事が掲載されていました。

 

「企業監査の質、英で批判 大手に解体論も」

 

企業の決算書類が正しいかどうか調べる監査法人に、英国で厳しい視線が注がれている。英財務報告評議会(FRC)は6月、大手4法人について「監査の質を早急に改善する必要がある」との報告書をまとめた。監査を通った企業の破綻や会計不祥事が続発。監督の強化を求める声が市場や政界から広がり、FRCは踏み込んで警告した。

(後略)

出典:2018年7月3日付日本経済新聞電子版

 

英国において大手の建設会社であるカリリオンが2018年1月に経営破綻したのをきっかけに、同社の監査を実施していたKPMGや内部監査を支援していたデロイト、経営コンサルを実施していたEY、PwCの責任を問う声が英国内で高まり、今回の踏む込んだ報告書を公表するに至ったようです。

報告書の中で、KPMGが実施した監査業務をサンプリングで検証した結果、問題がないと判断された監査業務は50%に留まり、何らかの問題があるとされた監査業務が50%に及んでいるとされています。

またKPMGだけではなく、EYやPwCでも問題がないと判断された監査業務の比率が低下しており、問題が英国全体に広がっていることに警鐘を鳴らしています。

 

この問題は英国だけで生じている問題ではなく、日本でも同様の問題が生じてるのだと思います。

日本でも東芝問題を契機に監査の質に関する議論が行われていますが、果たして議論は十分に尽くされているのでしょうか。

 

英財務報告評議会(FRC)は英国下院の委員会で痛烈な批判が行われたのを受けて、このような踏み込んだ報告書を公表し、監査制度の改革の乗り出しています。

一方で日本でも毎年同様の報告書を日本公認会計士協会が公表していますが、東芝問題が顕在化した以降も、FRCのような踏み込んだ報告書とはなっていません。

 

ただし個別の品質管理レビューでは、それなりに踏み込んだ内容の指摘を行っていると聞きますので、日本公認会計士協会もそれなりに危機感をもって、監査制度の改革に取り組んでいるのだと思います。

 

現行の監査制度では、監査法人は資本市場を担保する社会インフラと位置付けられながらも、私的企業であるため、利益追求も同時に求められています。

そのため実際の監査の現場では、社会の公益と私的企業としての利益が相反する様々な事象に直面しています。

 

監督官庁である金融庁は、これまで競争原理を監査制度にも取り入れることによって、監査の質の向上を目指してきたのでしょうが、この方法もそろそろ限界にきているのかもしれません。

本気で監査制度の改革に取り組むなら、小手先だけの対応を行うのではなく、抜本的な改革を行うことが必要だと思います。

コラム
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