有限責任あずさ監査法人の第34期決算を分析してみた

先月13日に有限責任あずさ監査法人の第34期決算が公表されました。

働き方改革に積極的に取り組んできたあずさですが、今年の決算について、詳しく分析してみたいと思います。

業務の概要

監査証明業務と非監査証明業務の売上高です。

(単位:百万円)

2018年6月期2017年6月期増減
監査証明業務76,54972,160+4,389
非監査証明業務20,57123,792△3,220
合計97,12195,952+1,169

 

監査証明業務については、43億円の増収となり、反対に非監査証明業務が32億円の減少となっています。

監査証明業務の売上高については、クライアント数の増加とともに、増収となっています。

反対に非監査証明業務については、大きく数字を落とすことになっています。

2017年11月より2018年6月まで新規監査業務の受嘱を停止してきたあずさですが、結果的に監査証明業務は6%以上の増収を達成しています。

また働き方改革に積極的に取り組んできたあずさですが、非監査証明業務は13%以上の減収となっています。

 

EY新日本と同様に、人材が不足する中、非監査証明業務の受注を落として、監査証明業務に監査資源を回した結果なのだと思います。

監査証明業務の状況

あずさの監査クライアントの状況です。

2018年6月期2017年6月期増減
金商法・会社法監査773756+17
金商法監査4143△2
会社法監査1,3661,372△6
学校法人監査4951△2
労働組合監査1718△1
その他法定監査516513+3
その他任意監査796728+68
合計3,5583,481+77

2017年11月より2018年6月まで新規の監査契約の受嘱を停止してきたあずさですが、金商法・会社法監査のクライアント数は17社も増加しています。

2017年7月から10月までの4か月の間に17社も上場企業の監査クライアントが増加したということだと思いますが、そのような状況を受けて、キャパシティーがパンクしてしまい、新規監査契約の受嘱を停止したということなのでしょう。

社員・職員の状況

社員・職員の状況です。

2018年6月期2017年6月期増減
社員603614△11
職員3,8693,848+21
合計4,4724,462+10

※監査補助職員とその他事務職員は含んでいない

 

職員数をさらに詳細に見ていく、以下のようになっています。

2018年6月期2017年6月期増減
公認会計士2,6492,613△36
試験合格者1,2201,235+15
合計3,8693,848△21

※あずさは2017年6月期においては監査補助職員とその他事務職員の数を公表していないため、今回の比較ではこれらの数を除いている

試験合格者の数は増えていますが、公認会計士の数は減少しています。

働き方改革に積極的に取り組んでいるあずさですが、人材の流出に歯止めが掛かっていない状況が伺えます。

人件費の状況

人件費の状況は以下のとおりです。

 

2018年6月期2017年6月期増減
報酬給与42,54741,997+550
一人当たり報酬給与10,996千円10,913千円+83千円
賞与13,36812,110+1,258
一人当たり賞与3,455千円3,147千円+308千円

報酬給与、賞与とも昨年よりも増加しています。

一人当たり報酬給与は前期との比較で83千円増加の10,996千円となっています。また一人当たり賞与も308千円増加の3,455千円となっています。

 

なおあずさは2017年6月期まで監査補助職員とその他事務職員の数を公表してこなかったため、一人当たり報酬給与の計算にこれらの数を含めていません。従って他法人より一人当たり報酬給与や賞与の金額は上振れしていますが、数字のトレンドを把握する観点で見ていただければと思います。

業績の状況

2018年6月期の業績の状況は以下のとおりです。

2018年6月期2017年6月期増減
業務収入97,12195,952+1,169
業務費用96,63691,166+5,470
営業利益4844,785△4,301
営業外収益2,776622+2,154
営業外費用576511+65
経常利益2,1844,896△2,712
特別損失738△738
税引前当期純利益2,1844,157△1,973
法人税等815△1,837+2,652
当期純利益1,3695,994△4,625

業務収入はクライアント増加に伴い11億円増加の97,121百万円と増収となっています。

一方で業務費用は54億円増加の96,636百万円となっています。

これは人件費が34億円増加していることに加え、施設関連費用が13億円増加したことが主な原因となっています。

これらの結果、営業収益は43億円減の484百万円に留まっています。

また今回の決算において営業外収益27億円を計上していますが、このうち15億円は貸倒引当金の戻入益となっています。

前期は16億円の貸倒引当金が計上されていたのですが、当期は35百万円と大幅に減少しています。

この貸倒引当金の戻入益がなければ、赤字に陥っていたものと思われますが、いったい何があったのでしょうか。

 

いずれにしても増収は達成したものの、固定費負担の増加に伴い、大幅な減収となってしまったようです。

ここまで業容を拡大してきたあずさですが、今後の決算の行方が気になるところです。

コラム
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