日産の西川社長の会見を聞いて耳を疑った 虚偽表示はゴーン会長がやった?

昨日夕方に飛び込んできた日産自動車のカルロス・ゴーン会長逮捕のニュースですが、世界的にも有名な経営者の逮捕ということもあり、大きなニュースになっています。

日産のゴーン会長が有報の虚偽記載で逮捕 EY新日本監査法人の責任は?!
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が有価証券報告書の虚偽記載の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。 詳細は不明ですが、有価証券報告書に記載すべき役員報酬の金額を過少に記載したことが理由のようです。 【有価証券報告書の記載...

 

内部通報が発端となり、数か月に及ぶ社内調査を実施していたということもあり、日産自動車の対応は早く、昨日22時から西川社長が記者会見を実施しました。

 

この会見の冒頭において、西川社長は、カルロス・ゴーン会長が主導した以下の三つの重大な不正行為が確認されたとしています。

  1. 有価証券報告書に自らの報酬を実際よりも少ない金額で記載していたこと
  2. 私的な目的で会社の投資資金を支出したこと
  3. 私的な目的で会社の経費を支出したこと

 

これを聞いて、私は自分の耳を疑いました。

 

有価証券報告書の虚偽表示はゴーン会長が記載した?

有価証券報告書は会社の経理が作成するもの

記者会見で西川社長は、カルロス・ゴーン会長が主導して、有価証券報告書に自らの報酬を実際よりも少ない金額で記載していたことを重大な不正行為としていますが、有価証券報告書は会社の経理で作成されるものであり、虚偽記載を行ったのは、ゴーン会長ではなく、会社の経理です。

また経営トップが、有価証券報告書の個別の記載について虚偽記載を指示することは考えにくいことですが、仮に指示があったとしても、その指示に会社のCFOや経理部長をはじめとする経理課員が従った=会社ぐるみで行った虚偽記載ということではないでしょうか。

 

にもかかわらず、あたかもカルロス・ゴーン会長が有価証券報告書に虚偽記載を行ったかのような西川社長の会見を聞いていて、驚きを禁じ得ませんでした。

記載は会社のデータに基づき行われるもの

また一部報道では、カルロス・ゴーン会長が虚偽の報告を行ったことが、有価証券報告書の虚偽記載の原因となったと報じているものもありました。

しかしこれは大きな誤りです。

 

通常であれば、有価証券報告書の役員報酬の記載は、各役員の報酬を決定した際の資料等に基づき、作成されるものであり、役員の申告に基づき作成されるものではありません。

従って、カルロス・ゴーン会長が虚偽の報告を行ったことが原因となって、有価証券報告書の虚偽記載となることはないように思います。

役員報酬は取締役会の決定事項

そもそも取締役の報酬等は、お手盛りを防止するため、定款に定めていないときは、株主総会の決議によるとされています。

ただし、株主総会の決議において報酬を定める場合、取締役全員の報酬の総額や最高限度額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることも認められています。

さらに取締役会は、具体的な配分を代表取締役に一任することも可能とされています。

 

今回の日産自動車のケースでは、どのようなプロセスを経て役員報酬が決定されていたかは不明ですが、カルロス・ゴーン会長に具体的な配分が一任されていた可能性はあると思います。

 

でも仮にカルロス・ゴーン会長に一任されていたとしても、ゴーン会長が決定した各取締役の報酬額は、取締役会に報告されていたはずであり、会社がカルロス・ゴーン会長の実際の報酬額を把握していたことは容易に想像できます。

 

またゴーン会長の暴走が懸念されるならば、そもそもゴーン会長に報酬決定を一任した取締役会の責任が問われるのではないでしょうか。

 

にもかかわらず、有価証券報告書に虚偽記載を行ったのは、カルロス・ゴーン会長であるとする西川社長の会見については、違和感しかありませんでした。

 

もしカルロス・ゴーン会長が決定した報酬額について、取締役会が報告を求めていなかったとすれば、それこそ各取締役の責任は免れないように思います。

また会社の監査役についても、各取締役の職務執行の適正性を監査する義務がありますので、仮にゴーン会長が決定した各取締役の報酬額を把握していなかったのならば、その責任を免れることはできないと思われます。

会社が被害者ぶるのはいかがなものか

確かに経営トップが絶大な権限を有する会社においては、取締役や監査役と言えども、意見具申するのは難しいことは理解できるところです。

しかしながら会社は経営者の私物ではなく、株主から経営を委託されているに過ぎないことを考えれば、今回の出来事は、他の取締役や監査役は経営トップを監督する義務があったにも関わらず、これを怠っていたと言わざるを得ません。

にもかかわらず、西川社長の会見では、取締役や監査役の任務懈怠についての謝罪等はなく、会社も被害者だと言っているように聞こえてなりませんでした。

 

グローバルな視点で見て、日本企業の経営者の報酬水準が極めて低いのは、日本人の気質が関係していると思います。

そのような日本で経営トップを長年務めたカルロス・ゴーン会長には、我々には想像できないような困難も数多くあったのだと思います。

それでも今回のようなルールを破った行為を行うことは、決して許されることではありません。

 

なので一番悪いのはカルロス・ゴーン会長であるのは間違いありません。

 

でも株主等の期待を裏切り、ゴーン会長の暴走を許した他の取締役や監査役にも責任があるのは明白な事実です。

 

今後の第三者委員会等の調査でこれら他の他の取締役や監査役の責任が明らかにされると思いますので、注目していきたいと思います。

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