EY新日本有限責任監査法人の第19期決算を分析してみた

今月6日にEY新日本有限責任監査法人の第19期決算が公表されました。

東芝問題で揺れ動くEY新日本ですが、その影響は決算に表れているのでしょうか。

今年の決算について、詳しく分析してみたいと思います。

 

※EY新日本有限責任監査法人のクライアントである日産自動車のカルロス・ゴーン会長が有価証券報告書の虚偽記載の疑いで逮捕されました。

これについては、以下の記事でまとめていますので、こちらの記事もどうぞ。

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業務の概要

監査証明業務と非監査証明業務の売上高です。

(単位:百万円)

2018年6月期2017年6月期増減
監査証明業務83,08780,561+2,526
非監査証明業務15,85419,474△3,620
合計98,941100,036△1,095

 

監査証明業務については、25億円の増収となり、反対に非監査証明業務が36億円の減少となっています。

監査証明業務の売上高については、クライアント数が減少しているにも関わらず、増収となっています。

これは既存クライアントの監査報酬の増額に成功した結果のようです。

東芝問題で監査の品質向上に取り組んでいるEY新日本ですが、上昇する監査コストを報酬にうまく転嫁できたということなのでしょう。

反対に非監査証明業務については、大きく数字を落とすことになっています。

人材が不足する中、非監査証明業務の受注を落として、監査証明業務に監査資源を回した結果なのだと思います。

監査証明業務の状況

EY新日本のクライアントの状況です。

2018年6月期2017年6月期増減
金商法・会社法監査955977△22
金商法監査5559△4
会社法監査1,3341,328+6
学校法人監査98106△8
労働組合監査1116△5
その他法定監査606601+5
その他任意監査830808+22
合計3,8893,895△6

上場企業の監査クライアントの数が大きく減少してます。

東芝問題を契機に、監査法人を変更する企業が多かったことと、監査報酬増額に嫌気をさした企業が中小監査法人へ流れたことが減少の原因だと思います。

社員・職員の状況

社員・職員の状況です。

2018年6月期2017年6月期増減
社員540556△16
職員5,0385,709△671
合計5,5786,265△687

社員数、職員数とも減少しています。

 

職員数をさらに詳細に見ていく、以下のようになっています。

2018年6月期2017年6月期増減
公認会計士2,5842,679△95
試験合格者1,0491,077△28
監査補助職員647891△244
その他事務職員等7581,062△304
合計5,0385,709△671

公認会計士、試験合格者数はいずれも減少しています。

監査の質の向上とともに働き方改革等にも取り組んでいるEY新日本ですが、人材の流出が止まっていないようです。

また監査補助職員、その他事務職員の数も大きく減少しています。

監査コスト削減の一環で資格を持たない補助職員を積極的に採用してきたEY新日本ですが、監査の質向上に取り組む中で、戦略の見直しを行っているようです。

また子会社の整理や地区事務所の閉鎖などリストラクチャリングにも積極的に取り組んでいるEY新日本ですが、合理化を推し進め、事務職員等の数も大きく減らしています。

人件費の状況

人件費の状況は以下のとおりです。

 

2018年6月期2017年6月期増減
報酬給与42,67545,419△2,744
一人当たり報酬給与7,651千円7,249千円+402千円
賞与8,5468,815△269
一人当たり賞与1,532千円1,407千円125千円

報酬給与、賞与とも昨年よりも減少しています。

ただし一人当たり報酬給与は前期との比較で402千円増加の7,651千円となっています。また一人当たり賞与も125千円増加の1,532千円となっています。

これらは比較的給与水準の低いと思われる監査補助職員、事務職員の数が減少したことが原因だと思います。

業績の状況

2018年6月期の業績の状況は以下のとおりです。

2018年6月期2017年6月期増減
業務収入98,941100,036△1,095
業務費用97,11997,808△689
営業利益1,8222,227△405
営業外収益568609△41
営業外費用5145+6
経常利益2,3402,791△451
特別損失1,0921,051+41
税引前当期純利益1,2471,740△493
法人税等1,0111,350△339
当期純利益237388△151

クライアント減少に伴う監査報酬の減少が響き、減益となっています。また昨年度に引き続き構造改革費用を特別損失に10億円計上しており、最終利益は2億円となっています。

 

厳しい経営環境が続くEY新日本ですが、今後はクライアントの流出を止められれるか、また監査の質向上や非監査証明業務のために必要な公認会計士等の人材を確保できるかが重要な経営課題だと思います。

コラム
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