有限責任監査法人トーマツの第51期決算を分析してみた

先月3日に有限責任監査法人トーマツの第51期決算が公表されました。

昨年決算期変更を行ったトーマツですが、今年の決算について、詳しく分析してみたいと思います。

業務の概要

監査証明業務と非監査証明業務の売上高です。

(単位:百万円)

2018年5月期2017年5月期増減
監査証明業務74,28452,408+21,876
非監査証明業務30,41918,569+11,850
合計104,70370,977+33,726

軒並み増加しているように見えますが、前期は決算期変更のため、八か月決算となっていますので、単純比較はできません。

そこで、12か月決算だったと仮定して、各数値を12/8倍して比較してみたいと思います。

(単位:百万円)

2018年5月期2017年5月期増減
監査証明業務74,28478,612△4,328
非監査証明業務30,41927,853+2,566
合計104,703106,465△1,762

監査証明業務については、43億円の減少となり、反対に非監査証明業務が25億円の増加となっています。

監査証明業務の売上高が減少しているのは、次の監査証明業務の状況を見てもらえば、分かるのですが、クライアントの数が減少していることが原因のようです。

反対に力を入れている非監査証明業務については、順調に業績を伸ばすことができたようです。

監査証明業務の状況

トーマツのクライアントの状況です。

2018年5月期2017年5月期増減
金商法・会社法監査948948±0
金商法監査1114△3
会社法監査1,0761,096△20
学校法人監査7584△9
労働組合監査4059△19
その他法定監査453439△14
その他任意監査735759△24
合計3,3383,399△61

金商法・会社法監査こそ、前年と同数ですが、その他の監査証明業務は軒並み数を下げています。

東芝問題を発端とする監査厳格化について行けない比較的小規模なクライアントが中小監査法人等へ流出していることが原因でしょうか。

社員・職員の状況

社員・職員の状況です。

2018年5月期2017年5月期増減
社員578578±0
職員6,0826,082±0
合計6,6606,660±0

総数では、前期と変動はありません。

入れ替わりが激しい監査法人ですが、偶然に人員数は前期と一致したようです。

職員数をさらに詳細に見ていく、以下のようになっています。

2018年5月期2017年5月期増減
公認会計士2,7062,662+44
試験合格者1,2321,245△13
監査補助職員1,8931,620+273
その他事務職員等261555△294
合計6,6606,660±0

公認会計士の数は微増で、試験合格者数は微減となっています。

一方で監査補助職員数は16%増の273人の増加となっています。

監査の厳格化や非監査証明業務の拡大に対応していくためには、公認会計士等の数を増やさないといけないはずですが、十分な数を確保できていないようです。

反対に公認会計士等以外の人員を採用して、公認会計士等が足りない分を補足しているように思います。

なおその他事務職員等の大幅な減少は、間接業務をシェアードサービス化したことに伴う変動のようです。

人件費の状況

人件費の状況は以下のとおりです。

ここでも八か月決算の影響を排除するため、2017年5月期の数字は12/8倍して比較しています。

2018年5月期2017年5月期増減
報酬給与50,38752,591△2,204
一人当たり報酬給与7,566千円7,897千円△331千円
賞与1,402795+607
賞与引当金繰入8,9279,619△692
一人当たり賞与1,551千円1,564千円△13千円

一人当たり報酬給与は前期との比較で331千円減少の7,566千円となっています。また一人当たり賞与も13千円減少の1,551千円となっています。

これらは比較的給与水準の低いと思われる監査補助職員の数が増加したことが原因でしょうか。

業績の状況

前期は八か月決算であるため、ここでも前期の数値を12/8倍して比較しています。

2018年5月期2017年5月期増減
業務収入104,703106,465△1,762
業務費用103,694103,900△206
営業利益1,0082,565△1,557
営業外収益341963△622
営業外費用6613+53
経常利益1,2833,515△2,232
税引前当期純利益1,2833,515△2,232
法人税等4031,036△633
当期純利益8792,479△1,600

クライアント減少に伴う監査報酬の減少や公認会計士の採用拡大、研修強化で人件費が増えたこともあり、減益となっています。また業務効率化に向けたITシステム投資の増額も影響しているように思います。

 

監査を取り巻く環境が厳しさを増していることから、生き残りをかけた先行投資ということなのでしょう。

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