公認会計士に求められる独立性、そこまで必要ですか?

公認会計士になり、上場企業等の監査を行うようになれば、気を付けなければならないことがあります。

 

それは独立性を確保することです。

 

公認会計士は市場の番人と言われており、公認会計士の資格には高いステータスが与えられています。

社会のインフラとして機能することが期待される公認会計士ですが、反対にいくつかの重い義務も課せられています。

この義務の一つが、独立性の確保です。

独立性の確保が求められる理由

公認会計士が独占的に行う監査業務ですが、企業が作成した財務諸表の適正性について、公認会計士が意見を述べることによって行われます。

このとき監査人たる公認会計士が、企業と癒着しているような状況で述べられた監査意見には何の信頼性もありません。

従って監査制度を支える根幹として、監査人たる公認会計士には、独立性の確保を求めているのです。

精神的独立性と外見的独立性

監査人たる公認会計士に求められる独立性には、以下の二種類の独立性があります。

精神的独立性

監査業務を実施するには、財務諸表の信頼性について、公正不偏の立場から、適切な判断を下すことができなければなりません。このため監査人たる公認会計士には、被監査会社から精神的に独立していることが求められます。

外見的独立性

監査制度の信頼性を維持するためには、精神的独立性の確保が重要です。

精神的独立性が確保されていれば、十分なように思われますが、精神的独立性が確保されているかどうかは、外観からは判別できません。

また経済的な独立性が確保されていなければ、精神的独立性に影響を及ぼすことも考ええられます。

従って、監査人たる公認会計士には、常に公正不偏な判断を下すことができるように、精神的に独立であることに影響及ぼすような利害関係を持たず、また持っているかのような疑いを招かないようにするため、外見的独立性の確保も求められています。

独立性に関するルール

独立性に難するルールは、公認会計士法や日本公認会計士協会の「倫理規則」、「独立性に関する指針」及び「職業倫理に関する解釈指針」等で定められています。

また監査法人の独自ルールも設けられており、ルール違反には一定のペナルティーが科されることになっています。

監査報告書にも記載される独立性

監査手続を実施した結果として表明される監査意見が記載される監査報告書ですが、ここにも独立性に関する記載が求められています。

場所は監査報告書の一番最後のくだりの部分で、「利害関係」について記載することとされています。

 

この点利害関係がある場合には、監査を実施することができませんので、当該記載の意味は小さいのですが、あえてこの記載を残し、監査人たる公認会計士と企業の間に利害関係がないことを明示しているのです。

具体的な制限

独立性の確保は、監査制度を支える重要なルールです。

でも監査法人に勤めていると、いろいろ不自由なことも出てきます。

株取引

監査意見を表明する業務執行社員や監査チームメンバーは、当該企業の株式の保有は当然に制限されることになります。

しかしながら、当該企業の監査に関与しておらず、何らの情報も持たない同じ監査法人に所属する社員、職員についても株式の保有は制限されています。

 

四大監査法人に所属してれば、上場企業の四分の一の株式は購入できないことになりますので、株式投資を行う上で大きな制限となってしまいます。

また監査法人の変更があった場合には、塩漬けしている株式の強制的な売却が求められるようなこともあります。

ローン

住宅購入時の住宅ローンなどを組む際にも注意が必要です。

自らが務める監査法人が監査を実施している金融機関からの借り入れはできませんので、それ以外の金融機関から融資を受ける必要があります。

地方などでは、金融機関の数も少ないので、地元の金融機関では住宅ローンが組めないこともありうるかもしれません。

クレジットカード

注意が必要なのは、監査法人のクライアントだけではありません。

ネットワークファーム(提携先の会計事務所)のクライアントにも注意が必要です。

もし勤めている監査法人のネットワークファームがVISAやMasterなど、クレジットカードブランドの監査を実施していると、当該ブランドのクレジットカードの使用に一定の制限が掛かってしまいます。

従って、クレジットカードを作るときにも注意が必要になります。

銀行口座

銀行口座を作るときにも注意が必要です。

ある監査法人のCEOがSECルールに抵触したことから、辞任に追い込まれたのは記憶に新しいところです。

会計監査独立性、米ルールに違反 トーマツ前CEO(日経新聞記事へのリンク)

 

この結果、この監査法人では自主規制として、すべての職員の当該銀行に保有する口座を解約させ、新規での口座の作成も禁止したようです。

 

公認会計になれば預金口座に一千万円以上の残高があることは、そう珍しいことでもありませんので、銀行口座を作る際にも注意が必要です。

保険

保険に入るときにも注意が必要です。

保険商品の中には貯蓄型の保険などもあり、運用先いかんによっては、独立性が問題になるような保険商品もあります。

 

保険契約を結ぶときは、商品内容をしっかり理解して、独立性に抵触しないことを確認の上、保険に入る必要があります。

親族にも求められる独立性

独立性は監査人たる公認会計士のみならず、配偶者や子供、扶養されている親族などにも求められています。

 

生活費を渡している別居の両親がいれば、その両親が保有する株式や保険契約、銀行口座などにも気を使う必要がありますので、大変です。

 

 

このように監査人たる公認会計士には、独立性の確保が求められており、これを遵守するのは大変です。

でも一人一人の公認会計士がこれを遵守しているからこそ、監査制度が社会の信頼を得ることができ、公認会計士の社会的地位が認められているのです。

 

 

高い独立性の確保が求められている公認会計士の資格についてもっと知りたいと思った方は、こちらの記事もどうぞ。

https://be-cpa.net/licenses/what/

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