2024年1月19日に令和6年公認会計士第Ⅰ回短答式試験の合格発表がありました。
出願者数は前回令和5年試験第Ⅰ回短答式試験との比較で1,131人の増加となった令和6年公認会計士試験第Ⅰ回短答式試験ですが、合格者数は1,304人と1,300人の大台を超えました。
一方で出願者数の増加に伴い合格率は10.8%とここ数年の第Ⅰ回試験の中では、前回令和5年試験に次いで低い合格率となりました。
これは公認会計士の数を増やそうと考えていた金融庁の方針が変わったことを意味するのでしょうか。
データ分析を通じて、検証してみたいと思います。
試験結果の概要
試験結果の概要は以下のとおりです。
願書提出者数(人) うち欠席者(人) | 15,681 3,581 |
答案提出者数(人) | 12,100 |
合格者数(人) | 1,304 |
合格率(%) | 10.8% |
ボーダーライン(%) | 75% |
出願者数が増加する中、合格者数、合格率ともに厳しい結果が予想されていましたが、蓋を開けてみると合格者数は1,300人台を突破する結果となりました。
ボーダーラインに関しては一部科目で難問もありましたが、総じて問題の難易度が下がったことなどが影響し75%となりました。
ここ数回の短答式試験では問題の易化にともないボーダーラインが上昇傾向にあったのですが、今回の試験でもボーダーラインは75%と70%超える水準となっています。
合格者数の推移
近年の短答式試験の合格者数と合格率の推移は以下のとおりです。
R2Ⅰ | R2Ⅱ | R3 | R4Ⅰ | R4Ⅱ | R5Ⅰ | R5Ⅱ | R6Ⅰ | R6Ⅱ | |
短答合格者数 | 1,139 | 722 | 2,060 | 1,199 | 780 | 1,182 | 921 | 1,304 | |
各年合計 | 1,861 | 2,060 | 1,979 | 2,103 | ― | ||||
短答合格率 | 15.7% | 12.9% | 21.6% | 12.1% | 7.9% | 10.4% | 8.8% | 10.8% | % |
ボーダーライン | 57% | 64% | 62% | 68% | 73% | 71% | 69% | 75% | % |
例年、第Ⅰ回と第Ⅱ回を比較すると第Ⅰ回の方が合格者数が多い傾向にあります。
これは第Ⅱ回試験で論文式試験に進む人数を調整していると考えられるためです。
そのような第Ⅰ回試験なのですが、近年の合格者数を見てみるとR2Ⅰが1,139人、R4Ⅰが1,199人、R5Ⅰが1,182人と1,100人台が続いていたのですが、今回の1,304人というのはここ数年の試験の中でも合格者数が突出して多かった試験ということになりました。
一方で合格率を見てみると、R2Ⅰが15.7%、R4Ⅰが12.1%、R5Ⅰが10.4%でしたので、今回の10.8%という合格率は第Ⅰ回試験としてはR5Ⅰに次いで合格率が低かった試験となりました。
これは以下の通り願書提出者数が増加していることが影響しています。
つまり合格者数自体は高止まり傾向を継続しているのですが、分母の願書提出者数の伸びの方が大きいため、結果として合格率は10%台まで低迷する結果になっています。
このサイトでは、再三「公認会計士になりたいなら、今がチャンス」と言ってきましたが、この試験結果を見て、流れは変わったと見るべきなのでしょうか。
私はそうは思いません。
願書提出者数が増加しているため合格率は下がっているように見えますが、合格者数自体は増加しており、まだまだ公認会計士の数自体は増やそうと考えている金融庁の考えが透けて見えるからです。
とはいえ中東におけるイスラエルのガザ地区侵攻やロシアによるウクライナ侵攻、米中の関係悪化など世界経済の先行きは不透明感を増しています。
経済環境の影響を色濃く受ける公認会計士試験においても、いつトレンドが変わってしまってもおかしくありません。
公認会計士になりたいと思っている人は、このチャンスを逃さずできるだけ早く合格を勝ち取るようにすべきだと思います。
結果を出せなかった人は振り返りを
今回の試験で合格できなかった方は、悔しい思いをしていることと思います。
中には学習を再開する気になんてなれない人もいるかもしれません。
でも時間を無駄にしている暇はありません。
次こそ結果を出すためにも、できるだけ早く気持ちを切り替えて、再スタートを切るようにしてください。
再スタートを切るにあたっては、必ず今回落ちてしまった原因を探ってから再スタートを切るようにしてください。
まずはこれまでの学習を振り返ってみよう
これまでの学習を振り返ってみて、試験まで全力で走ってくることができましたか?
もし全力で走ってくることができたと思えるならば、そのまま学習を継続することによって、いつか合格を勝ち取ることができるはずです。
でも全力で走ってくることができなかったと思う人は、その原因をきちんと分析すべきです。
もしかすると学習法があなたに合っていないことが、原因だったのかもしれません。
学習法が合っていないことが落ちた原因である場合
専門学校によって、おすすめしている学習法は異なります。
もし学習法が合っていないことが全力を出せなかった理由であるなら、学習法を変えることを検討してみてください。
学習法を変えることによって、合格を勝ち得た人を私は何人も見ています。
もし学習法が自分に合っていないと感じているならば、ためらわずに学習法を変えることをおすすめします。
第Ⅱ回短答式試験は5月26日に実施予定で、残り期間は4か月余りとなっています。
今回の短答式試験に合格できなかった受験生や初学者たちは、虎視眈々と次回短答式試験の合格を目指して学習を進めています。
まだ学習を再開していない人は、一日も早く学習を再開しなければなりません。
そして次回試験でこそは、合格を勝ち取ってほしいと思います。
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