公認会計士試験の合格者の多くは、監査法人への就職を選びます。
これは公認会計士の独占業務である「監査」の経験を積むためです。
では監査法人で何年くらい監査の経験を積めば、「監査」を習得したことになるのでしょうか。
公認会計士登録は2年間の「業務補助」があれば可能
公認会計士になるためには、試験合格後、3年間の「実務補習」を受けるとともに、2年間の「業務補助」を行う必要があります。
「業務補助」は1年につき2以上の監査証明業務に従事することによって、要件を満たすことになります。また一般企業で原価計算その他の財務分析に関する事務に従事することや、金融機関等で貸付け、債務の保証その他これらに準ずる資金の運用に関する事務に従事することでも、要件を満たすことが可能です。
このように制度上は、2年間の実務経験を積めば、公認会計士となることが可能とされていますが、2年間の「業務補助」は公認会計士登録の最低条件と捉えるべきで、実際は2年間の「業務補助」では、まだまだ監査の経験は不足しています。
会社法監査の主査
監査計画立案から意見形成まで監査の一連の流れを理解するためには、監査スタッフとして業務補助を行っているだけでは足りません。
実質的に一連の監査業務のすべてを取り仕切る主査の業務を滞りなくこなせて初めて、監査を習得したといえるでしょう。
ただし会社法監査の主査でさえ、経験できるのは早くても3年目くらいからになります。
会社法監査の主査を経験すればとりあえず監査の一連の流れは理解できますが、会社法監査では経験できないことも多々あります。
金融商品取引法監査の主任
一般的な監査のイメージは、やはり上場会社の監査ではないでしょうか。
そのため監査を習得したといえるためには、金融商品取引法監査の主査を経験する必要があります。
金融商品取引法監査の主査は、早くても5年目以降でしか経験できません。
所属する部門によっては、なかなかチャンスが回ってこなくて、8年目になってようやく金融商品取引法監査の主査のチャンスが回ってくるというようなこともあります。
金融商品取引法監査の主査を経験すれば一人前
監査は公認会計士にしか認められていない独占業務です。
なのでせっかく公認会計士になったのであれば、最低でも金融商品取引法監査の主査を何社か経験するまで監査を続けるべきです。
監査は、表面的な数値の確認作業には留まりません。
その会社がなぜ儲かっているのか、会社の強みや弱み、同業他社の状況、業界の動向など、様々な局面で判断を連続して行っていく業務です。
監査の経験は、その後どのようなキャリアプランを選択しても必ず生きてきます。
可能なら金融商品取引法監査の主査を何社か経験するまで監査法人に勤務することをおすすめします。
22歳で公認会計士試験に合格した人なら、8年間監査法人で勤務してもまだ30歳です。そこから新しい道に歩みだしても決して遅すぎることはありません。
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