この記事にたどり着いた人は、公認会計士になりたいと思っている人で、できれば専門学校等には通わず、独学で公認会計士になりたいと思っている人だと思います。
独学で公認会計士になりたいと考えている人たちの理由はさまざまです。
- お金がないので、専門学校に通えない
- 近くに公認会計士のための専門学校がない
- 仕事があるため、専門学校に通う時間がない
あなたが独学で公認会計士を目指す理由も、上記のうちのどれかではありませんか。
そんなあなたに向けてこの記事は書いています。
この記事を読めば、
- 独学で公認会計士になることは可能なのか
- 本当に公認会計士になりたいなら、何をやらなければならないのか
が分かるようになります。
独学で公認会計士試験に合格することは可能か
まず最初に独学で公認会計士になることは可能かという問いに答えたいと思います。
はっきり断言できるのですが、「独学で公認会計士になることは可能」です。
ただし膨大な時間を使うことになります。
これまでに財務会計論や管理会計論、監査論などを本格的に学んだことがない人にとっては、これら試験科目の学習は未知の領域です。
独学で学ぶということは、その未知の領域を自分の力で切り開き、その奥にある理論や考え方を理解し、自分のものにし、答案に解答としてアウトプットしなければならないことを意味します。
このようなことが通常の人にできるものでしょうか。
少なくとも私にはできません。
世の中には、一度テキストを読めば、即座に内容を理解し、その根底にある理論や考え方を理解し、自分のものにして、使いこなしてしまう人がいます。
このような人は一般的には「天才」と言われています。
「天才」といわれるような人であれば、独学でも2、3年で公認会計士試験に合格することが可能かもしれませんし、もしかすると一発合格だってあり得るかもしれません。
でも普通の人は、テキストに書いてある内容を何度も読み返し、5回目くらいに、ようやくそこに書いてある内容を理解するのではないでしょうか。
またその先の関連分野へも学習が進み、さまざまなことの理解が進んだ時に、振り返ってみて、ようやく根底にある理論や考え方を理解できるものではないでしょうか。
そして根底にある理論や考え方が理解できたとしても、それを自分のものにし、自分の言葉で解答を作成できるようになるためには、更に時間が必要になるものです。
そう考えると、公認会計士試験に合格するまでにいったいどれだけの時間が必要になるのでしょうか。
20歳から学習を始めて、30歳になる頃には、普通の人でもなんとかなっているかもしれません。
でもそれがあなたの目指している姿ですか?
公認会計士試験は競争試験
公認会計士試験は、一定の得点を取れば合格できるという試験ではありません。
一定の得点以上を合格としてしまうと、問題の難易度によって、合格者数は大きく変動してしまいます。
また金融庁が合格者数をコントロールすることができなくなり、ひいては公認会計士の質の低下を招くことになりかねません。
そこで、そのようなことがないように合格者数は毎年金融庁が政策的に決定し、試験では受験生を得点順に並べて、金融庁が決めた合格者数に達するまでの人を合格とする仕組みが採用されています。
したがって受験生同士の競争に勝ち抜き、この合格者の枠の中に入らなければ公認会計士になることはできません。
これが公認会計士試験が「競争試験」と言われる所以(ゆえん)です。
競争試験に勝ち残るためには
ではこの競争試験に勝つ抜くためには、何が必要なのでしょうか。
誰も知らないような難しい論点を知っていることが必要なのでしょうか。
答えは「ノー」です。
平成17年以前の旧公認会計士試験では、試験委員の独自論点を知っていないと正答できないような難解な問題が出題されたこともあります。
しかしながら平成18年以降の現行試験では、そのような難解な試験は出題されなくりました。
変わって公認会計士になるための基礎的な知識や理解力、応用力が試される試験となっています。
このような試験を勝ち抜くためには、合否ライン上にいる受験生の半数以上が正答できる問題を如何に取りこぼさないように学習するかということが、重要になってきます。
現状の公認会計士試験では、受験生のほとんどが専門学校を利用しています。
したがって専門学校で取り扱った論点が本試験で出題されれば、多くの受験生がその問題に正答できてしまいます。
反対に専門学校で取り扱ったことのない論点が本試験で出題されても、多くの受験生はその問題に正答することができず、その問題は合否には関係のない埋没問題となる可能性が高いと言えます。
なので、受験生の半数以上が正答できる問題を取りこぼさないようになりたければ、多くの受験生が利用する専門学校に通うことが必要なのです。
お金がないならば
初学者向けのコースの学費は、安いところでも35万円くらい、高いところになると70万円くらいになります。
この金額は決して安い金額ではありません。
なのでこの学費が準備できず、独学で公認会計士を目指すことを考える気持ちは分かります。
でも公認会計士になることがゴールではなく、スタートであるということを考えれば、試験はできるだけ短期間でクリアして、公認会計士としてのキャリアを早くスタートさせるべきです。
もし自分で学費を準備できないのであれば、ご両親に相談してみてください。
あなたが真剣ならば、きっとご両親はあなたを支援してくれるでしょう。
あるいは、あくまでも自分で学費を準備しないといけないなら、月10万円のバイトを10か月続けて、100万円の資金を作ってから、受験生活に入るようにしてください。
受験生活では一日の大半は受験学習で終わってしまい、バイトに時間を割いている余裕はありません。
このような方法は一見すると遠回りに思えるかもしれませんが、公認会計士になるためにはこれが最短ルートなのです。
そして試験に合格しさえすれば、これらの費用は簡単に回収できるのです。
時間がないならば
もしあなたが大学一年生で大学の授業が忙しく、Wスクールをこなす自信がないならば、二年生の秋まで、公認会計士講座の受講を先延ばしにすれば良いでしょう。
それまでに、できるだけ多くの大学の単位を取っておき、さらに余裕があるならば、日商簿記検定の学習を進めておけば、その後が楽になります。
もしあなたが社会人で仕事が忙しく専門学校に通う時間がなくて独学を考えているのなら、もう一度考え直した方がよいでしょう。
公認会計士になるためには、一般的に3,000時間以上の学習時間が必要であるといわれています。
今の仕事を続けながら、本当にこの3,000時間以上の時間を確保できるのか、今一度確認するようにしてください。
今のままでは時間は確保できないけれども、公認会計士には絶対になりたいと強く思うなら、今の会社を退職するという方法もあります。
仕事を辞める以上リスクを負うことになりますが、公認会計士になりたいと本気で思っているならば、合格を勝ち取るのも夢ではありません。
20代ならば、いくらでもやり直しが効くものです。
仕事で時間を確保できないならば、受験学習に集中できる環境を作ってから、学習を始めるのも一つの方法です。
近くに専門学校がないならば
もし近くに専門学校がないために、独学を考えているならば、通信講座の受講を考えてみてください。
近くにライブ講義の実施校があれば、そこに通うのが一番なのですが、ライブ講義は東京や大阪、名古屋などの大都市でしか実施されていません。
でもTACや大原、LECなら全国各地に教室を設けており、近くにこれらの教室があれば、個別ブースでWeb講義の受講も可能です。
それすらない場合は、自宅でのWebやDVDでの受講となりますが、質問への対応など受講生のフォロー体制がしっかりした専門学校を選べば、なんとかなるものです。
本気で公認会計士になりたいと思っているなら、通信講座でもきっと合格を勝ち取ることは可能です。
まとめ
独学でも通常の何倍も時間をかければ、公認会計士試験に合格することは可能です。
でも公認会計士になることはゴールではなく、スタートにすぎません。
このことを考えれば、できるだけ短期間に試験に合格して、公認会計士としてのキャリアをスタートさせることが肝要です。
合格率が高止まりしている今は、公認会計士になる絶好のチャンスです。
公認会計士になりたいと考えている人は、独学で遠回りすることなく、最短ルートで公認会計士を目指してください。
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