公認会計士の資格に興味を持っている方の中には、米国公認会計士(USCPA)の資格はどうだろうと考えている方もいらっしゃると思います。
同じ目指すなら公認会計士と米国公認会計士(USCPA)のいずれを目指すべきなのでしょうか。
米国公認会計士とは
米国公認会計士とは、米国各州が認定する公認会計士の資格のことをいい、USCPAとも呼びます。
公認会計士登録は、各州ごとに行われますが、州外での業務も大学の単位を150単位以上取得しているなど一定の要件を満たせば自由に行うことができるとされています。
また試験は全米統一試験となり、AICPA(米国公認会計士協会)が試験を実施します。このため州によって試験の難易度に差はありません。
受験地
試験はどの州に出願しても、米国内の好きな場所で受験することが可能です。
また2011年の8月から日本受験に参加している州の試験は、日本でも受験が可能となっています。
国内では東京と大阪にテストセンターが開設されていますので、このテストセンターで受験します。
受験日
試験は各四半期の最初2ヵ月間、すなわち1~2月、4~5月、7~8月、10~11月に実施されます。
ただし同じ四半期内に不合格となった科目の再受験はできません。従って、同一科目の受験チャンスは年4回となります。
試験科目
2017年4月以降の新試験では、以下の試験科目で実施されています。
- 財務会計(Financial Accounting & Reporting)
- 企業経営環境・経営概念(Business Environment & Concepts)
- 諸法規(Regulation)
- 監査および諸手続き(Auditing & Attestation)
それぞれの科目において、Multiple Choice(四択問題)とSimulation(シミュレーション問題)の形式で出題されます。
Simulationは、ケーススタディ的な要素が強い総合問題で、基本知識だけでなく、応用力、分析力、リサーチ能力などが問われるのが特徴です。
なお2004年4月以降コンピュータを使って試験が実施されており、受験者はモニターに出題される問題に対して、入力することによって解答することになります。
試験は英語で実施される
試験は英語でのみ実施されます。
そのため日本人が試験に合格するには高い英語力が必要となり、具体的にはTOEIC800点程度の英語力が必要と言われています。
従って米国公認会計士試験に合格できれば、高い英語力を有していることを簡単に証明することが可能です。
働くところで制度上認められた資格を目指すべき
日本において、監査業務は公認会計士に独占的に認められた業務です。
従って米国公認会計士の資格を有していても、日本において監査業務の実施が認められているわけではありません。
そのため日本で実施される監査報告書にサインするためには、日本の公認会計士の資格が必要です。また米国公認会計士の資格で税理士業務が行えるわけでもありません。
反対に米国で監査業務を行うためには、米国公認会計士に資格が必要です。
従って、資格は働こうと考えている国の資格を取得するのが原則です。
もちろん米国公認会計士(USCPA)の資格を取得し、日本国内で監査法人等で働くことも可能です。
でも同じ苦労をするなら、日本の制度上で認められた資格を取得しておいた方が、後々有利です。
従って日本で働く予定なら、まずは日本の公認会計士の資格を取得することをおすすめします。
米国公認会計士になるためには、1,000時間の学習時間が必要と言われています。また日本の公認会計士は倍の3,000時間の学習時間が必要と言われています。
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