公認会計士は医師、弁護士などと並ぶ三大国家資格の一つと言われており、経済分野の頂点に位置する国家資格であると言われています。
そんな公認会計士なのですが、なるためには毎年実施されている難関と言われている公認会計士試験に合格する必要があります。
では公認会計士試験を受験するための受験資格は、どのようになっているのでしょうか。
公認会計士の受験資格を徹底解説します。
公認会計士試験の受験資格
会計・監査のスペシャリストである公認会計士になるための公認会計士の受験資格は以下のようになっています。
現行制度での受験資格
公認会計士試験の受験資格なのですが、制限は一切なく、年齢、学歴、国籍等にかかわらず誰もが受験することが可能となっています。
そもそも公認会計士試験は平成18年度に試験制度の大改革が行われ、受験資格に関する制限も撤廃され、誰もが受験できる試験制度へと改められました。
したがって現行制度では誰もが受験可能な試験となっています。
旧試験制度での受験資格
平成17年度以前の旧公認会計士試験では、公認会計士になるまでに一次試験、二次試験(短答式及び論文式)、三次試験(筆記試験及び口述試験)の三段階五回の試験が実施されていました。
現行試験の短答式試験と論文式試験は、旧試験制度での二次試験に相当するものです。
その二次試験の受験資格は、一次試験の合格者や大学の卒業者等に認められているに過ぎませんでした。
一次試験は、二次試験を受けるのに相当な一般的学力を有するか否かの判定を行うことを目的として実施されていて、筆記の方法により国語、数学、外国語、論文の四科目で実施されていました。
その合格率は10%から20%程度だったため、多くの受験生は二次試験にたどり着くまでにも、大きな負担を強いられていました。
公認会計士と学歴
公認会計士の受験資格に制限は設けられておらず、学歴も一切必要ありません。
そのためいつでも受験できる試験なのですが、本気で公認会計士になりたいと思っている人はいつ勉強を始めるのがベストなのでしょうか。
高校生でも受験は可能
その気になれば高校生のうちに受験勉強を始め、公認会計士試験を受験することも可能です。
現に直近試験における最年少合格者は17歳となっています。
でも高校生のうちに公認会計士試験の勉強を始めることは、あまりおすすめではありません。
公認会計士は監査・会計士のスペシャリストとして経営者に対して助言指導することが求められる職業なのですが、そのためには試験勉強を通じて得られた知識のみならず、幅広い知識も必要となってきます。
子どもの頃から公認会計士になりたいと思っていた人にとっては、回り道のように感じるかもしれませんが、会計以外は何も知らない会計士にならないためにも、大学には進学してその他の知識も身に付けることをおすすめします。
大学2年に勉強を始めるのがベスト
公認会計士試験の勉強を始めるなら大学2年生の冬がベストです。
大学2年生の冬に学習をスタートさせると、1年後の大学3年生の12月に実施される第Ⅰ回短答式試験を受験することが可能です。
また万が一ここで失敗しても翌年5月に実施される第Ⅱ回短答式試験を受験するチャンスもあります。
そして大学4年生の8月に実施される論文式試験に合格して、大学卒業と同時に監査法人へ就職することが可能なことから、大学2年生の冬がベストです。
公認会計士になりやすい学部
誰もが受験資格を有する公認会計士ですが、公認会計士になるためには大学はどの学部に進めばいいのでしょうか。
これについては公認会計士試験の勉強内容と重複する科目で卒業単位が取得できる商学部、経営学部、経済学部などがおすすめです。
そもそも公認会計士になるためには3,000時間以上の勉強時間が必要であり、大学での勉強と両立させるのは簡単なことではありません。
したがって財務会計論や管理会計論、監査論、租税法、企業法、経営学など公認会計士試験で勉強する内容で多くの卒業単位が取得できる商学系や経営学系、経済学系の学部等に進み、できるだけ公認会計士試験のための勉強時間を確保するようにすべきだと思います。
本当は大学での勉強で公認会計士試験に受かれればいいのですが、大学の講義レベルでは合格には全く届きませんので、ここは割り切ってしまうのが良いと思います。
公認会計士になるには
誰もが受験資格を有する公認会計士ですが、実際に公認会計士になるためには以下の手順が必要となります。
公認会計士試験
公認会計士になるためには、まずは短答式試験と論文式試験からなる公認会計士試験に合格することが必要です。
短答式試験は12月上旬と5月下旬の年二回実施されており、論文式試験を受験するために必要な知識を体系的に理解しているか否かを判定する試験となっています。
論文式試験は年1回、8月下旬に実施されており、公認会計士になろうとする者に必要な学識及び応用能力が備わっているか否かを判定する試験となっています。
実務補習
公認会計士試験に合格しただけでは公認会計士となることはできません。
試験合格後に3年間にわたり実施される実務補習を受講しなければ、公認会計士になることはできません。
初年度の実務補習は週1日から2日のペースで実施されますので、試験合格者は実務補習所に仕事をしながら通うことになります。
業務補助
試験合格者は実務補習を受講しつつ、監査法人に就職して業務補助を通じて実務経験を積みます。
公認会計士登録を行うためには2年以上の業務補助が必要とされており、その要件は厳格に定められています。
修了考査
実務補習と業務補助の要件をクリアした者たちに受験が認められる修了考査に合格すれば、晴れて公認会計士になることができます。
修了考査の合格率は40%から70%程度で推移しており、それなりに勉強しなければ合格することはできません。
ただ公認会計士になるための最大の難関はやはり公認会計士試験であり、それに比べると修了考査は格段に受かりやすい試験となっています。
他の資格試験の受験資格との比較
公認会計士の受験資格に制限は一切ないのですが、他の資格試験ではどうなのでしょうか。
以下では他の資格試験での受験資格についてみていきたいと思います。
税理士試験の受験資格
同じ経済分野の国家資格である税理士試験の受験資格は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
【学歴による受験資格】
- 大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
【資格による受験資格】
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
【職歴による受験資格】
- 法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
- 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
税理士試験においては幅広く認めているものの、一定の要件を満たさなければ受験資格は得られません。
一方で公認会計士試験では広く公認会計士となる優秀な人材を集めるため、受験資格を全廃しており税理士試験よりも先進的であるとも言えます。
公認会計士試験に合格すれば税理士になることも可能です。
これから目指すなら税理士よりも公認会計士の資格をおすすめします。
USCPAの受験資格
USCPA(米国公認会計士)の受験資格は州ごとに異なっているのですが、多くは学位要件と単位要件を求めています。
学位要件は大学や短大を卒業して一定の学位を取得していることを求めるもので、一部の州では在学中の受験も認めています。
単位要件は一定以上の会計単位やビジネス単位の取得を要求するものです。
多くの州ではこれら2つの要件の満たさないと受験資格は認められません。
なお試験はすべて英語で実施されるのですが、日本でも受験可能となっています。
司法試験
司法試験においては法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格することが必要とされています。
司法試験予備試験の受験資格は設けられておらず、公認会計士と同様に誰もが受験することが可能となっています。
なお一度受験資格を得ると司法試験を5年間5回まで受験することが可能となっています。
公認会計士試験が免除になるケースとは
公認会計士試験では一定の要件を満たす者については、試験の一部あるいは全部を免除することになっています。
短答式試験
商学あるいは法律学に関する博士学位取得者等については、短答式試験の全部が免除されています。
また税理士資格保有者や会計大学院修了者等については、短答式試験の一部科目が免除となります。
論文式試験
商学あるいは法律学、経済学に関する博士学位取得者、司法試験合格者、不動産鑑定士試験合格者、税理士、一定の要件を満たした実務家等については、論文式試験において一部科目が免除されます。
そして理論上はこの免除制度を利用して無試験で公認会計士になることも可能です。
なお公認会計士試験の免除制度の詳細は以下の記事を確認してください。
入り口の広がった試験を勝ち抜くためには
幅広い人材を広く募集するために受験資格を撤廃し、全ての人に公認会計士になれるチャンスを与えた現行公認会計士試験制度ですが、公認会計士になることは簡単ではありません。
どうしても公認会計士になりたい人は、自分に合った学習法をいち早く身に付けるようにしなければなりません。
とはいえ自分に合った学習法が簡単に見つけられるなら誰も苦労しません。
学習法は専門学校によってさまざまです。
自分に合った学習法を見つけるためにも各専門学校が推奨するさまざまな学習法を知るようにしてください。
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